株式会社体験入社AIガイドライン

2025年10月1日制定

 当社は、AIの利活用を行うにあたり、以下の各原則(以下「本ガイドライン」という。)を遵守するものとする。なお、当社におけるAIの利活用状況の変化、社会の要請の変化等により改定が必要な場合には、本ガイドラインを適時に改定する。

 労使双方の価値向上の達成AIの利活用により労使の一方が利益を得、他方が損をするような状況を回避し、労使win-win達成に努める

 当社の属する人材紹介業界においては、人事データ利活用原則(https://peopleanalytics.or.jp/media/HRDataUtilizationPrinciples.pdf)原則1が、「データ利活用による効用最大化の原則」として、労使双方にとっての効用の最大化を図るように努めるべきことを強調している。

 もし当社が労使の一方のみの利益を図るようなAIの利活用をしてしまえば、人材紹介業界において長期的に信頼を得ることができない。

 よって、当社は、AIの利活用により労使の一方が利益を得、他方が損をするような状況を回避し、労使win-winのAI利活用の実現に努めることとする。

 労働法令・情報関係法令その他の法令遵守職安法をはじめとする労働法令、AI新法、個人情報保護法をはじめとする情報関係法令その他の法令を遵守する

 法令遵守は当然のことではあるものの、特に、人事データに関してはこれまで他社において職業安定法(職安法)違反や個人情報保護法違反等、問題のある利活用の事案が存在したことは否定できない。

 そこで、当社はあらためて、AIの利活用にあたり、職安法をはじめとする労働法令、人工知能関連技術の研究開発及び活用の推進に関する法律(AI新法)、個人情報保護法をはじめとする情報関係法令その他の法令を遵守することをここに宣言する。

 なお、ここでいう法令は、法律等のいわゆるハードローのみならず、重要なソフトローについても遵守に努めるものとする。

 データ保護人事データのセンシティブ性を十分に意識し、AI利活用においてはそのデータ保護に努める

 AI利活用においてデータ保護が重要とされている。ここで、当社においては、本音ベースのマッチングが、労使双方にとって有益だと考えており、求職者及び求人企業から、できるだけ詳細で、かつ、踏み込んだ情報を取得し、これらのリッチなデータをAIを利活用した精度の高いマッチングにつなげている。

 だからこそ、労使双方が、当社に対して安心して本音を伝えられるよう、ここに高水準のデータ保護を行うことを宣言する。

 透明性マッチングがどのような情報に基づき、どのように行われるか等について労使双方に適切な説明を行う

 当社の実施する採用分野におけるAIによるマッチングに対しては「ブラックボックス」という批判がなされ得る。もちろん、詳細なアルゴリズム等、開示できない情報は存在するものの、そのような限界が存在する中で、どのような情報に基づきどのように行われるかについて、労使双方に対し、可能な範囲で適時適切に説明する。これにより、労使双方は、より詳細な情報を安心して開示でき、かつ、マッチングの精度が高まり、ひいては、当社プロダクトの信用性が高まる結果につながる。

 採用の公平性偏見(バイアス)等がAIの利活用によって顕在化し、不公平な採用にならないようにする

もし、元々のデータが偏見(バイアス)を含むものであれば、そのような問題のあるデータで学習したAIの導き出す結果も偏見に満ちたものとなりかねない。

 実際に、採用分野においても、ある企業の開発したAIが、当該企業における男性が多いという偏見(バイアス)を承継し、女性の求職者に対し、「当該企業にマッチしない」等という不公平な判定をして問題となった事案等、AIによって採用の公平性が害された事案が存在する。

 当社は、偏見(バイアス)の予防・検知・除去に努め、そもそも元となるデータに偏見(バイアス)が含まれないように慎重を期すると共に、テストを繰り返すことで、少なくとも実地における出力結果に偏見(バイアス)が含まれる可能性を低減させる。その上で、実地における出力結果に偏見(バイアス)が含まれるのではないかについて常に監視を継続し、万が一、そのような問題が検知された場合にはただちに除去に努める。

 キャリア実現をサポートするアドバイザーの関与(career-advisor-in-the-loop)採用分野の専門家である人間が関与する

 AIを利用する場合、AIが何らかのミスをする可能性をゼロとすることはできない。そのため、人間が適切に関与することで、そのようなミスを予防し、検知し、是正する必要がある。AIガバナンス分野ではhuman-in-the-loopという言葉があり、AIリーガルテック協会の「リーガルテックとAIに関する原則」(https://ai-legaltech.org/legaltech-ai-principle)ではlawyer-in-the-loopとしてそれぞれの局面における専門家の関与(法律に関するAIの場合には法律の専門家の関与)の重要性を強調している。当社と関係する、採用の局面においては、それが求職者にとっての人生の重大事であり、求人企業にとっても重要な意思決定である以上、単なる「人間」の関与ではなく、キャリアに関する専門家の関与が必要である。

当社においては、キャリアアドバイザーが適切に関与することとする。つまり、AIだけを利用してマッチングを行うのではなく、経験と能力を有する採用分野の専門家であるキャリアアドバイザーが実質的に関与することでAIによるマッチングを適正化していく。なお、当社では、キャリアアドバイザーに対してG検定(一般社団法人日本ディープラーニング協会(JDLA)が実施するAI・ディープラーニングの活用リテラシー習得のための検定試験)の受験を推奨し、AIのリテラシーを涵養している。

以上

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